【遮熱材・断熱材の素材比較】
暑さ・寒さ対策にはいくつかの方法がありますが、それぞれ熱の防ぎ方が違います。断熱材は、熱の伝わりをゆっくりにして室温を保つ素材。冬の保温に効果的ですが、夏の熱対策にはやや弱めです。遮熱塗料は、屋根や外壁に塗ることで表面温度を下げる塗料ですが、室内に入る熱はある程度残ります。ここでは各素材を比較していきましょう。

輻射熱遮断について
“輻射熱(放射熱)”に対する効果は大きく異なります。
太陽の熱や夏の屋根裏の熱は、主に「輻射熱(ふくしゃねつ)」として私たちに伝わってきます。
輻射熱とは、空気を通さずに電磁波のように直接物体に伝わる熱で、たとえば「直射日光」「電気ストーブ」などがその代表です。
この輻射熱をいかに遮断できるかが、建物の暑さ対策・省エネにとって非常に重要です。
太陽や屋根裏からの熱は、主に電磁波の一種である「輻射熱」として伝わります。これは空気を介さずに直接伝わる熱であり、断熱材や断熱塗料では完全には防ぎきれません。
ここでは、「輻射熱に対する効果の違い」を解説します。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 表面に高純度アルミニウムを使用し、輻射熱を最大97%反射
- 熱を吸収せず、建物内に熱を入れない構造
- 夏の屋根・壁からの熱を跳ね返し、室温の上昇を大幅に抑制
- 冬場も屋内の熱を反射して保温効果にも貢献
👉 輻射熱対策として最も即効性が高く、「熱そのものを遮る」遮熱材です。
🔹 遮熱塗料
- 特殊顔料や金属酸化物で表面温度の上昇を抑える
- 輻射熱反射率は約30〜60%程度とやや限定的
- 経年劣化や汚れにより遮熱性能が低下しやすい
👉 軽度の遮熱効果はあるが、長期的・高温下での性能維持には注意が必要です。
🔸 断熱材(グラスウール・発泡系など)
- 主に対流熱・伝導熱を遅らせる素材
- 輻射熱の反射効果はほとんどなく、吸収してしまう性質
- 外部からの輻射熱が入ると、室内温度が上がりやすい
👉 輻射熱対策としては不十分で、併用遮熱材が推奨されるケースが多いです。
🔸 断熱塗料
- 主に熱の伝導を遅らせて内部に伝えにくくする素材
- 表面での輻射熱反射効果は限定的
- 高温環境下では効果が薄くなりやすい傾向
👉 断熱は期待できても、日射・輻射熱の遮断効果は控えめです。
施工性について
施工しやすさで選ぶなら? 素材別に比べる施工性のちがい
遮熱・断熱材は、性能だけでなく「誰が・どこで・どう施工するか」も選定のポイント。
施工環境や手間が大きく異なるため、それぞれの素材の特徴を把握しておくことが重要です。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 非常に軽量で柔らかく、ハサミやカッターで簡単にカット可能
- 壁や天井にもテープやタッカーで簡単に固定
- 裏面粘着タイプ(Eeeサーモダブル シール付き)なら、貼るだけで施工完了
- 天井裏・床下・壁内など、狭い場所でも作業しやすい
- DIYから現場施工まで対応できる高い汎用性
👉 手間をかけずにしっかり遮熱したい方に最適です。
🔹 遮熱塗料
- ローラーやスプレーで施工可能。表面に直接塗るだけ
- 施工面の**下地処理(清掃・乾燥・下塗りなど)**が必要
- 屋根や外壁に使用されることが多く、高所作業では安全対策が必須
- 複数回の塗り重ねが必要な場合もあり、施工日数が延びることも
👉 簡単そうに見えて、実は天候や環境に大きく左右されやすい素材です。
🔸 断熱材(グラスウール・ロックウールなど)
- ロール状やボード状で、寸法調整や隙間の充填が必要
- 柔らかい素材だが、チクチク感があるため防護服・手袋が必須
- 湿気対策や防水処理など、下地やまわりの環境にも配慮が必要
- 比較的大面積での施工向き
👉 住宅施工や大規模な新築・リフォーム現場での使用が主流です。
🔸 断熱塗料
- 遮熱塗料と同様、スプレーまたはローラーで塗布
- 施工厚が性能に直結するため、厚みにムラが出ないよう丁寧な塗布が必要
- 高温多湿・低温などの施工条件によっては性能を発揮しづらいことも
👉 施工の技術と環境に左右されやすい素材といえます。
重量
遮熱材・断熱材といっても、素材によってその「重さ」は大きく異なります。
実際の現場では「施工性」や「取り回しやすさ」に直結するため、重量も選定時の重要な要素です。
以下では、代表的な素材の重さとその特徴を比較しながらご紹介します。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 1㎡あたり 約200〜300g
- 軽量で柔軟、施工がとにかく楽
- 梱包もコンパクトで、現場への搬入・保管にも最適
- 天井裏や壁の内側など、狭い場所でも取り扱いやすい
👉 軽くて高性能な「使いやすさ重視」の遮熱材です。
🔹遮熱塗料
- 塗布量により異なるが、1㎡あたり約1〜1.5kg
- 施工後は軽量だが、塗料缶は重く、現場での取り回しや管理が必要
- 塗装作業は天候に左右されやすく、塗布面積が広いと作業負担増
👉 効果の持続や下地処理も含めると、手軽さには限界があります。
🔸 断熱材(グラスウール・ロックウール等)
- 1㎡あたり 約1.5〜2kg(厚み50mm相当)
- 比較的軽いが、かさばるため作業スペースと運搬に工夫が必要
- チクチクする素材のため、作業着や保護具が必須
👉 大面積施工や防音目的には有効だが、DIYや部分施工には不向きな場合も。
🔸 断熱塗料
- 塗布厚によるが 約1〜1.2kg/㎡
- 断熱性能はあるが、遮熱性は限定的
- 塗布技術によって効果にバラつきが出やすい
👉 塗るだけの手軽さはあるが、ムラや厚み不足に注意が必要。
耐久性
遮熱・断熱材を選ぶとき、**性能だけでなく「どれだけ長く効果を保てるか」**も非常に重要です。
一度設置すれば、簡単に交換できないケースも多いため、耐久性=安心して使える期間といえます。
ここでは、素材の耐久性についてわかりやすくご紹介します。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 表面に高純度のアルミニウムを使用しており、劣化しにくく長寿命
- 腐食やサビにも強く、屋根裏・壁・倉庫などの過酷な環境でも安定した性能
- 室内であれば半永久的に使用できる
👉 「長く、確実に遮熱効果を保ちたい」なら最適な選択肢です。
🔹 遮熱塗料
- 表面が風雨や紫外線にさらされるため、数年で効果が低下しやすい
- 汚れやチョーキング現象により、遮熱性能が徐々に落ちる
- 耐久性のある製品でも5〜7年程度で再塗装が必要
👉 一定期間でのメンテナンスや再施工が前提の素材です。
🔸 断熱材(グラスウール・ロックウールなど)
- 基本的に耐久性は高いが、湿気や結露に弱い
- 吸水・劣化によって断熱性能が著しく低下することも
- 長期使用には防湿対策や環境管理が重要
👉 正しく使えば長寿命だが、設置環境に左右されやすい点に注意が必要です。
🔸 断熱塗料
- 遮熱塗料と同様に経年劣化によって徐々に性能が落ちる
- 表面の劣化が進むと、断熱性能にも影響
- 一般的には5~10年でのメンテナンスが推奨
👉 外壁・屋根など、環境条件によって耐久性が変わります。
コスパ
遮熱・断熱対策は、見た目では効果がわかりづらい設備投資。
だからこそ、**導入コストと効果のバランス=コストパフォーマンス(コスパ)**が非常に重要です。
ここでは、主要な素材別に「費用」と「効果持続性」をもとにコスパを比較しました。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 初期費用は**1㎡あたり 数百円~**とリーズナブル
- 施工が簡単で工賃も抑えやすい
- 一度施工すれば10年超の長期遮熱効果
- エアコン負荷の軽減で光熱費の削減にも直結
👉 導入しやすく、効果が長く続くため、コスパ重視の方には最適です。
🔹 遮熱塗料
- 材料費+塗装費で1㎡あたり2,000~4,000円程度
- 効果はあるが、5~7年ごとに再塗装が必要
- 塗装面積が広いと足場や人件費が高額になる
👉 初期費用とメンテナンスコストがかさみやすく、長期的には割高になるケースも。
🔸 断熱材(グラスウール・ロックウールなど)
- 材料費は安価(1㎡数百円~)でも、施工手間・工期が長くなりやすい
- 適切に施工すれば長寿命だが、湿気などで性能低下のリスクも
- 断熱効果中心で、遮熱には向かない
👉 コスパは高いが、施工難度と環境管理の手間が前提となります。
🔸 断熱塗料
- 材料費+工賃で1㎡あたり3,000~5,000円
- 遮熱性能は限定的で、熱反射よりも断熱が中心
- 効果はあるが、素材や施工厚によりムラが出やすい
👉 施工面積が大きいと高コストになりがち。遮熱目的ならやや非効率です。
補助金
国や自治体では、省エネ・断熱性能の向上を目的とした建材やリフォーム工事に対して、
補助金や助成制度を用意している場合があります。
ここでは、代表的な4種類の遮熱・断熱素材が、どのような条件で補助対象となる可能性があるのかをご紹介します。
✅ Eeeサーモ(アルミ遮熱シート)
- 遮熱材の設置によって建物の冷房効率が向上するため、省エネ補助の対象となる場合があります。
- 特に断熱・遮熱改修の一環として設置する場合に、対象になるケースあり。
- 上記対象となるケースもあるが、現時点では明確に補助金対象にはなっていない。
👉 必要に応じて、設計者や施工業者と連携しながら申請するのがおすすめです。現時点では明確に補助金対象ではないので今後に期待されます。
🔹 遮熱塗料
- 住宅・施設の屋根や外壁に施工することで室内温度上昇を抑える効果が認められており、
自治体によっては遮熱塗装工事が補助対象になることがあります。 - 「ヒートアイランド対策」「地球温暖化対策事業」の枠で扱われることも。
👉 条件や対象製品の基準があるため、事前に制度の内容をよく確認する必要があります。
🔸 断熱材(グラスウール・ロックウールなど)
- 国の「断熱リフォーム支援事業」「住宅省エネ2024キャンペーン」などでは、
床・壁・天井の断熱材改修が補助の対象となっています。 - 長期優良住宅・性能向上リノベーションの枠組みにも含まれることが多いです。
👉 補助金活用のしやすさでは特に優れており、制度との親和性が高い素材です。
🔸 断熱塗料
- 遮熱塗料と同様、屋根・外壁の温度抑制による省エネ効果が期待されており、
一部自治体での補助制度に対応することがあります。 - ただし、塗料の種類や施工内容が制度要件を満たすかどうかをよく確認する必要があります。
👉 施工業者や塗料メーカーが補助金情報を提供している場合もあります。
素材別まとめ:遮熱・断熱素材の特徴と評価
✅【Eeeサーモ(高純度アルミ遮熱シート)】
- 輻射熱遮断性:◎
→ 純アルミが太陽や屋根からの輻射熱を最大97%カット。暑さ対策に最適。 - 施工性:◎
→ 軽くて柔らかく、カッターやハサミで切れて貼るだけ。DIY対応も可能。 - 重量:◎
→ 1㎡あたり約200〜300gと非常に軽く、取り扱いやすい。 - 耐久性:〇
→ 腐食や劣化に強く、10年以上の長期使用にも耐える。条件によっては半永久的。 - コスパ:◎
→ 初期費用も低く、長寿命。光熱費削減効果でトータルコストも優秀。 - 補助金対応:△
→ 自治体によっては、省エネ改修等で補助金対象となるケースあり。
🔸 総評:性能・扱いやすさ・コストのバランスに優れた、高機能遮熱材。
🔹【遮熱塗料】
- 輻射熱遮断性:〇
→ 日射反射率は高いが、経年劣化による性能低下がある。 - 施工性:✕
→ 専門の塗装業者による作業が必要。天候に左右されやすい。 - 重量:△
→ 塗布後は軽量。ただし塗料自体は重く、缶の持ち運びが大変。 - 耐久性:✕
→ 一般的に5〜7年程度で効果が落ち、再塗装が必要。 - コスパ:✕
→ 材料+人件費で高コストに。再施工も前提。 - 補助金対応:〇
→ ヒートアイランド対策や温暖化対策事業で対象になることがある。
🔸 総評:見た目を変えずに遮熱対策したい場合には有効だが、長期の維持費に注意。
🔸【断熱材(グラスウール・ロックウールなど)】
- 輻射熱遮断性:△
→ 輻射熱には弱く、主に伝導熱の抑制が中心。 - 施工性:△
→ 専門施工が必要。切断・防湿施工など手間が多い。 - 重量:〇
→ 比較的軽いが、かさばるため施工現場での扱いに注意が必要。 - 耐久性:◎
→ 正しく施工すれば長寿命。ただし湿気に弱く劣化のリスクあり。 - コスパ:△
→ 材料単価は安価。ただし工期と工賃を加味するとやや中庸。 - 補助金対応:◎
→ 多くの国・自治体の住宅省エネ改修制度で補助対象。
🔸 総評:断熱性能に優れ、補助制度も豊富だが、遮熱には不向きで施工ハードルも高め。
🔸【断熱塗料】
- 輻射熱遮断性:△
→ 主に伝導熱・対流熱対策。熱反射には限定的な効果。 - 施工性:✕
→ 遮熱塗料と同様に塗装業者による作業が必要。 - 重量:△
→ 施工後は軽いが、塗布面の管理と厚みの調整が必要。 - 耐久性:✕
→ 経年劣化による再施工が必要な場合あり。 - コスパ:✕
→ 塗料単価と施工費が高く、ムラが出ると効果に差が出やすい。 - 補助金対応:〇
→ 断熱性能向上目的の塗装工事で補助対象となるケースあり。
🔸 総評:見た目重視・塗装ベースの断熱補強には便利だが、施工管理がカギ。
遮熱材選びの参考になれば幸いです。用途に合わせてお選び頂ければと思います。